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「心地よい時間を過ごした人は、その微笑みでわかる…」。私たちバーテンダーにとってお客様の笑顔こそ最高の励みです。
「バーは異次元への扉だ」とおっしゃった方がおられましたが、まさに日常から軽くワープしていただくためにバーがあります。
楽しいこと、嬉しいこと、苦しいこと、重いこと、晴れやかなこと、ブルーなこと、信頼、友情、愛しさ…。さまざまな出会いと
さまざまなシーンが人生にはあります。そして、一杯のお酒でほんとうの自分に帰る時間…。
そのために美味しいお酒とリラックスできる時間の提供こそ、私たちの仕事だと考えています。
何かのご縁でご来店いただきカウンターの前にお座りのお客様を「いかにお迎えするか」「どう快適に過ごしていただけるか」…。
一期一会の気持ちを込めてお酒をお出ししたいと、常日頃から考えております。
私が生意気盛りの21歳の時、師匠である小林省三に出会い40数年が経ちました。小林省三から学んだこともそのことでした。
おかげさまで若いスタッフも育ちつつあり、受け継いだ「SAVOY」の名も未来に繋ぐことができそうです。
今夜も、あの懐かしい顔が、あの常連さんが、新しい方が、「ヤー」と扉を開けていただける。バーテンダー冥利に尽きる時です。
これまでも、これからも「お客様を迎える心」を大切にしたいと思います。

SAVOY 木村義久

 

 

 

 

「お帰りなさい」満面の笑顔の木村マスターから、まずこの言葉で迎えられる。
「ああ、神戸に帰ってきたな」と、ホッと安堵する瞬間だ。神戸を離れてから30数年が過ぎた。神戸で産まれ、神戸で育ち、
バーの切り絵に熱中し、勤めをやめ、上京し、切り絵を生業とするに至った。
だが神戸も変わった。かって元町界隈の如何わしい匂いを発散させていた外人バー、新開地の劇場、戦争の焼け跡の時代を薄ら
残す高架下、外国航路の船員たち…。神戸から「闇」が消えたのである。阪神淡路大震災の影響が一番大きいのだが、僕の思い出
のなかにある神戸…。切り絵という黒白の世界を生業にしている以上、どこにでもある明るすぎる街は何か薄っぺらく単調なのだ。
これは僕の感傷にしか過ぎないのだが、今宵も「残り香」を求めてさすらってしまうのだ。
幸い神戸が誇る名物バーテンダー小林省三氏も健在である。あの底抜けに明るいベタなジョークを聞きながら、
名作「SUN EXPO」飲るのは至福のひと時だ。そして木村義久氏のこれまた名作「SolCubano」。
to the Bar。バーは僕の魂の置き所でもあるのだ

切り絵作家 成田一徹